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成功する野外フェスとは

2021年12月14日

音楽フェスではないのですが、地元の小規模な音楽ステージやブースなどを集めた野外フェスのWebサイト制作やステージボランティアをお手伝いしました。
イベントの仕事をした事がなかったので、中心メンバーの方と一緒に作り上げた経験はとても勉強になりました。
それらの経験を通して勉強になった事や思った事を書き留めたいと思います。

この記事の内容

フェスを開催する大義

どのイベントでもそうだと思うのですが、開催する目的やテーマがあると思います。興行イベントの場合はお客さんも純粋に楽しみたいだけに参加する場合もあると思いますが、何かしらの共感や意義があるからこそ皆が参加して開催したり、継続して何年も続けていく事ができるのだと思います。

アーティストの場の創造

近年CDをあまりみなくなりました。音楽はYouTubeやサブスクリプションのサービスで提供されて無料でも楽しめます。ビジネス的な側面からしても有名になれば商業的に成功しますが、ますます二極化が進行して、多くの場合は音楽で生計を立てるのはこれらの収入だけでは難しくなってきていると感じます。だからこそ、良い音楽が多くの人に見てもらえる様々な「場」の創造が必要になるのだと感じます。

地元への貢献

人口の減少や、大都市圏に人口が集中していく近年は、地方活性化は今の日本では大きな課題になっていると思います。
地方で開催されるフェスならば、東京で活躍する地方出身の有名アーティストも地元への貢献という形で参加したいという大義が生まれます。また他府県からの人の流入や「この日は地元に帰ろうかな」とUターンをする人も増えると思います。そういった地元愛や地元貢献といった大義は大きいと思います。

衰退した文化・産業の復興

特定の産業によっては後継不足の問題が深刻です。衰退している文化や産業の復興のためにテーマを定めたフェスを開催する事でそれらのPRができ、若い人や子ども達に親や地元の大人たちの仕事に興味を持ってもらう。文化、産業の復興という大義で開催するケースもあるかと思います。歴史のある文化や産業を後世へ残したいという想いは変え難い大義であると思います。

他にも色々あるかと思いますが、こうした大義を持っているフェスは参加者にも支持されて、何年も続いていくフェスに成長していくのかなと感じます。

野外フェスのビジネス的側面

若い頃にサマーソニックに数回行った事がある程度で野外フェスのビジネス的な側面を考えた事もなかったのですが、シミュレーションをしてみると意外と儲かるのだなと思う事もあり、少し書き留めておきます。

興行イベントの収益源

チケット代

大体は1day5000〜10000円くらいかと思います。

5000人動員でチケットが5000円と仮定して、
2500万円

ブース参加費

ブースの参加業者もフェスでは結構儲かるらしいです。地元の野外イベントのキッチンカーの列なんかを見ても、単価や量、受け渡すだけのフローを見ても「なるほどな」と感じます。なのでブース参加業者からも出店料を頂きます。

50店で1dayの出店料を20000円と仮定して、
100万円

アルコール販売費

特に夏なんかだと野外フェスでアルコールはかかせないですよね。僕もいつも一日中飲んでた記憶があります。やはりアルコール販売は大きな収益源です。
ここはブース参加業者ではなく主催者が販売する規定を作る事で大きな収益源になります。

1日で10000杯売れて500円で販売したとして、
500万円

スポンサー・協賛からの協賛費

地元企業やメーカーからの協賛費なども入ればそれも収益源となります。例えばアルコールメーカーやドリンクメーカー、タバコメーカーなど参加者層の趣向に合う場合はメーカーも大きなPRになります。
物品の協賛という形もあります。アルコールメーカーから物品の協賛を得られれば販売費がそのまま収益となります。
また地元の小さなフェスであれば地元企業や店舗の協賛金や個人協賛金という形もあります。
その場合は装飾などで名前を記載する、個人ならイベントグッズを提供するなど何かしらのリターンが必要になります。

クラウドファンディングからの収益

ここ最近よく見るようになったクラウドファンディングもチケット代を取らない無料フェスなら特に大きな収益源となる可能性を秘めています。
ただこれらは先にも説明した「大義」に大きく関わるので簡単に得られるものではないのかもしれません。
例で言えば協賛と形態は同じですが、金額に合わせた数種類のリターンの提供を考える必要があります。
近年であると、コロナで開催中止になった損失をファンの寄付で支えるというケースもみかけました。
ファンの支援によって得られる未知数の収益源といえるでしょう。

中規模の野外フェスの場合のシミュレーション

4000万円の収益があり、
会場使用料 200万円
設備、準備 200万円
広報Web 200万円
人件費   200万円
その他   200万円
アーティスト費
100万円で10人として1000万円

2000万の経費を引いて2000万の利益が生まれます。

これが2daysや3daysとなるとさらに大きなビジネスとなるでしょう。

実際こんなに上手くはいかないと思いますが、それでもビジネスとして野外フェスは興行イベントとして大きな金額が動くビジネスであると想像できます。

アーティストのギャラについて

100万と仮定したのはメジャーレーベル所属の誰もが知る有名アーティストクラスかもしれません。テーマによってはある種のジャンルでは知る人ぞ知るというアーティストなら20〜30万だったり、これから有名になりたいという若いアーティストであれば無償で出演して頂いたりと金額の交渉の余地は色々あると思います。有名アーティストでも大義のためであればギャラはいらないという事もあると思います。

特に大儀を伝えたい場合は企画書などでわかりやすくどういったフェスなのかを伝えることが必要になります。

準備は結構前から必要

ただ開催半年前などから準備をするのでとても大変です。また今年はコロナ禍で開催できないケースも多かったので、開催ができないと、赤字になるリスクもあると思います。

そういった場合でも大義があればクラウドファンディングで支援を募る事も不可能ではないと感じます。

ちなみに台風や地震の天災であれば補償されるイベント保険なんかもあります。コロナでは補償対象外がほとんどらしいですが。

非営利のフェスの場合

チケット代を取らない野外フェスの場合は多くは自治体の助成金が入り、市民のボランティアによって運営されるケースが多いと思います。ただ助成金やボランティアの場合は無理のない範囲での継続して続けていくフォーマット作りが大事なんじゃないかと思いました。※ボランティアが集まらないケースもあれば広報の予算がないケースもあります。

かなりの長文になりましたがWEBサイトだけのお手伝いだったのですが、それだけ考えさせられた事や勉強になったことが色々ありました。良い経験だったと思います。