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多言語サイト作成の手法

2021年2月2日

以前に多言語サイトの対応言語の選定をどうするか?で言語選定の基準や組織体制、運用面についてまとめましたが今回は翻訳手法やどういった多言語管理システムを使うのかにフォーカスしていきたいと思います。

この記事の内容

翻訳手法

大きく分けて翻訳者による翻訳か自動翻訳に分かれます。どちらも一長一短あります。

翻訳者による翻訳

マスター言語を使ってそれぞれの言語の翻訳者に翻訳を依頼します。精度の高い翻訳や専門性のあるコンテンツやコピーライティングにこだわりたい場合などに適しています。自動翻訳との決定的な違いとして翻訳は文化的側面などでただ直訳していけばいいというわけでもなく、固有名詞なども現時点では調べないと正しいものを表記できなかったりするので正しく情報を伝える手法としては最適な手法になります。

自動翻訳

Google翻訳APIに代表されるような機械翻訳によって翻訳する手法です。こちらのメリットは動的なページであっても自動で翻訳ができる、コストがあまりかからない、様々な言語に対応できるといったメリットがあります。

デメリットは英語の精度はだいぶ高いですが、言語によって精度のばらつきがあります。マスター言語によっても大きく左右されるという点もデメリットです。

(例)英語がマスター言語だと多言語展開の精度が上がるがマイナーな言語だと精度が下がるなど。

また固有名詞についてはまだまだ精度が悪く、英語以外の言語だと名称などがまったく変わった形で翻訳されてしまうといったケースもあります。

ハイブリッド方式

ハイブリッド方式は基本自動翻訳を行ってから翻訳者によってチェックを行い、修正していく手法です。とても効率的で良いとこどりのように思えますが、「チェックをして修正していくくらいなら一から翻訳したほうが早い」「逆に時間がかかってしまう」という意見も多々あります。

特に辞書登録機能がないと、新しいコンテンツが追加され自動翻訳していくたびに間違った翻訳が繰り返し行われるといった問題も発生しますのでここも要注意です。

多言語管理システム

多言語管理システムについてはASPものからオンプレで使うもの、フルスクラッチで開発する方法まで色々ありますが、便利だなと思うASPとオンプレのものを紹介したいと思います。

WOVN.io

こちらはASPの多言語管理システムです。設置はサイトにタグを埋め込むだけで利用できるのがポイントです。翻訳手法はセルフ翻訳、管理画面で翻訳者に依頼、自動翻訳、ハイブリッド方式ともに可能。導入実績も大手が多数あり。価格は要お見積りで初期費用とは別にトラフィックやページ数によって月額費用が変動します。

shutto翻訳

shutto翻訳もWOVN.ioとよく似た形のタグを埋め込むだけのサービスです。翻訳手法はセルフ翻訳、管理画面で翻訳者に依頼、自動翻訳、ハイブリッド方式ともに可能。費用については明確に記載されているので、WOVN.ioよりランニングコストが抑えれそうなイメージがあります。

WordPress + WPML

こちらは先ほどの2つのサービスとは違ってWordpressの多言語プラグインになります。ASPではなくサーバで動かすオンプレのタイプになります。

メリットはプラグインの費用と自動翻訳を使う場合はAPIの費用のみで運用できるので価格を大きく抑えれます。

使ってみて非常に良くできており、通常のサイトであれば問題ないのですが、動的ページやクエリなどを使った検索サービスの場合や、他のプラグインの連動性など注意しないといけません。※対応していないケースがある。

こちらも翻訳手法はセルフ翻訳、管理画面で翻訳者に依頼、自動翻訳、ハイブリッド方式ともに可能。

Drupal

こちらはオープンソースのCMSのDrupalです。世界的にもエンタープライズのCMSとして注目を浴びており、扱えるエンジニアがいる場合は非常に使い勝手やカスタマイズ性の高いCMSとして有名です。

なんとこのCMSはWordpressと違い、デフォルトの状態で多言語管理機能がサポートされているんですね。なのでWPMLのようにプラグインの連動性やカスタマイズによって不具合が起こるリスクが低いのがポイントです。

まとめ

このように多言語サイトを作る際は案件の特性や予算を考慮しながら翻訳の手法やそれに適した多言語管理システムなどを選定して構築する形になります。

どの手法やサービス、システムにしてもメリットやデメリットがあり、これが正解と言い切れないのが難しいところです。

特にマスター言語とミラーで多言語サイトを作る場合は自動翻訳やASPタイプはフィットするのですが、言語によってコンテンツ内容が変わるケースの場合は、こういったシステムを使わずに言語ごとにサイトを作るほうが望ましいケースなどもあります。