WEB制作会社の契約方式について考える
2009年8月4日
最近、個人で仕事をもらう機会がいくつかあり、契約方式や単価の設定などに悩まされていました。そんなときに、「情報システム関係の人とかこれ見とくといいよ-チョコっとラブ的なにか」を見てWEB制作業界に当てはめて色々考えてみました。
WEB制作業界の従来の契約方式の問題点
クライアントにとって経営層に説明できない価格設定では、投資の妥当性を提示できず、投資意欲そのものを減退させてしまうという側面もあるのではないでしょうか。
また、固定価格のみでは、制作会社の品質向上や創意工夫等へのモチベーションが生まれにくいという側面もあったり、他社は○○○円だから~なんて値引きを要求される時などモチベーションが下がってしまうことがよくあると思います。
不景気な今では、価格の妥当性が見えにくいことが、過剰な値引きを引き起こし、価格破壊を起こす要因にもなっているのではないかと考えたりします。
数字をベースに考える
経営戦略や投資では、まず命題となる「目標」を定め、次にその目標を具体的に実現するための「手段」を策定し、その手段がきちんと遂行されているかどうかを定量的に測定する「指標」を決める。その指標を「KGI(重要目標達成指標)」や「KPI(重要業績評価指標)」と呼びます。
- KGI(重要目標達成指標)
- プロセスの目標(ゴール)として達成したか否かを示す定量的な指標
※プロモーションサイトであれ、ビジネスであれば「収益」「成約件数」「利益率」などがKGIに各当する。 - KPI(重要業績評価指標)
- プロセスの実施状況を計測するために、実行の度合い(パフォーマンス)を定量的に示すもの。KGI達成に向かってプロセスが適切に実施されているかどうかのパフォーマンスを計測するための指標
※「ページビュー」「ユニークユーザー数」「離脱率」「新規登録者数」「資料請求者数」などプロジェクトによって適正なKPIは異なる。
成果報酬方式を考える
WEBサイトの場合、まず、WEBサイト独自の目標KGIを設定する(コンバージョンレートなど)。そして、設定した目標KGIを達成するためのKPI(PVやUU、離脱率)を設定し、そのKPI指数に準じて料金を設定していく「パフォーマンスベース契約」も選択技の1つとして良いなと思います。共同運営といったレベニューシェアであればKPI指数ではなく、KGI指数を報酬として考えるのが当然ですが、クライアントの商品やサービスの価値の部分まで踏み込んで考えなければいけないKGIを目標設定にしてしまうのはWEBサイトの設計・構築だけのアウトソーシングの場合、ハンドリングできる領域が少しずれていると感じますのでKPI指数ベースが良いと思います。
パフォーマンス契約のメリット
クライアントにとって「無駄な投資が減る等,適正な価格での投資ができる」,「目的を共有することから,制作会社の積極性を期待することができる」,制作会社にとっては「WEBサイトの効果に応じた適正な対価を得ることができる」,「人月,ページ単価ベースの契約から脱却することで,付加価値の創出や効率化に対するモチベーションが向上する」などがあげられます。
パフォーマンス契約のデメリット
クライアントにとっては「契約時に価格が確定せず,実績により事後的に価格が変動するため,定額固定契約と比べて予算確保が難しい」,制作会社にとっては「期待した効果が出せない場合,定額固定契約と比べて収益の縮小となる可能性がある」「価格を決めるための作業が煩雑となる可能性」などがあげられます。
柔軟な契約方式についても考える
パフォーマンス契約のメリット・デメリットを踏まえたうえで、双方にとってベストだと思える契約方式をクライアントに提案してみるのも1つの改善策だと思います。
- 「人件費方式」方式、もしくは「ページ単価」などの固定価格方式
- 最低ベース金額と一部の「パフォーマンスベース契約」のハイブリッド方式
- 完全「パフォーマンスベース契約」の成果報酬方式
まとめ
案件の規模にかかわらず、成果という形が見えにくいWEBサイトは実現可能な数字での目標設定を行い、それに応じて報酬をいただくという契約のあり方が今後のWEB制作において重要になってくると思うし、業界全体が健全な発展を遂げることにつながっていくのではないかと思いました。